またつくり話書いてみました。
今回はちょっと長いので3分割です。
興味ない方はスルーして頂ければ。。。
ーねぇ、おねえちゃん、
シュガーとソルトのへや ってしってる?
いじめられてる子がそこにいくと
2人がおともだちになってくれるんだってー
「あぁ、私も似たような話聞いたことあるよ。」
ナツミはシェイクを勢いよく吸い込んで軽くむせながら話し始めた。
「ほら、公園とか駅のトイレに相談窓口の電話番号やQRコードが書かれたカードが置いてあるとか、今ほとんどないから分かんないけど、公衆電話?だっけ?お金入れたら電話できるやつ、あれにお金入れなくても繋がる番号があって、そこに連絡すると女の子が話し相手になってくれて、ヤバい時は保護してもらえるらしいとか。
他にも、○○スタとか○○ッターとかに病んでる投稿するとメッセージが来るってのも聞いた。あぁ、あとスマホのAIに悩み相談すると紹介してくれるってのもあったね。都市伝説にしては結構リアルだよね」
一気に喋った後に真顔で私の顔を見つめた。
「でもさぁ、ハルの話だと、その子相当マズくない?虐待だよね。スマホも電話も使えないだろうし。誰か通報してるんじゃないの?学校で対応するとかないのかね。」
私はアイスティーの残った氷水をチビチビすすりながら彼女を見上げた。
「やっぱりそう思う?もちろん、露骨だから助けようとした人はいるんだよね。近所の子供好きのお婆ちゃんが一度匿ってご飯食べさせてたみたい。でも、そしたら、母親の彼氏?ヤクザみたいな人がそのお婆ちゃん家に乗り込んで行って、連れ戻されたんだって。
それから多分虐待が悪化したんじゃないかな。ベランダに締め出される回数も増えてるし。児童相談所?かどっかの人も何度か来てるみたいだけど、まだ保護されてないんだよね。警察も来たみたいなんだけど、何でかな?
うちの親にも言ったんだけど、通報して虐待がもっと酷くなるかもしれないし、ウチに報復が来たらアンタに危害が及ぶかもしれないし大人に任せておけって。
だって親は日中家いないじゃない。あれで死なれたら私見殺しにしたみたいで嫌だよ。」
ナツミは少し怒った顔になった。
「ハルのは見殺しではないでしょ?ベランダにいるその子に食べ物差し入れたりしてるんだし。周りの大人よりよっぽどいいじゃん。」
「食パンや水だけだよ。こないだチョコレートあげたら、匂いでバレてた。学校にはまだ行けてるみたいだから逃げることはできるんじゃないかと思うんだけど、あの子、大丈夫だから心配しないで、って。」
こういう時子供は無力だと思う。逃げればいいなんて他人事なのかもしれない。
「多分ハルに迷惑かけたくないんじゃないの?いい子だね…なんかいい方法あるといいけど。そういえばさっきの『おともだち』、いじめられてる本人じゃないとダメなのかな?試してみたら?ハルのスマホ貸してあげるとか」
ナツミが背中を押してくれた。
「うん…それであの子の助けになるのか分かんないけど、一回やってみようかな。ありがと、ナツ。」
「なんもしてないよ。それよか、早くハルも元気になってよ。その子の心配しなくて良くなったらまた遊びにいこ?ほら、駅ビルこないだ改装して、結構お店入れ替わったし、今度一緒に見に行こうね。」
ナツミに心配させてしまった。自分でも情緒不安定かもと思う。隣の部屋での出来事は、とても他人事と片付けられないところまで私の中で膨らんでいた。
「うん、ありがと。じゃあ今度の休みにでも行こうか?いつ行くかまた決めようね。」
お店を出て、ナツミと別れて家に帰る。あの子は今日、ベランダにいるだろうか…。